誰にも信じてもらえない体験、といえば。
むかし、きつねにつままれたことがありました。
おいなりさんが祀られている神社に両親と車でお参りに。
そこは山の頂上にあって、車でくねくね道をしばらく登り、広い駐車場に着きます。
家からさほど遠くないし、どちらかというと馴染みの場所。
できるだけ山道近くに車を置き、父親がお参り前にお手洗いに行くと言いました。左右に出口があるトイレで、その前で母親と待っていたのですが…
いくら待てども父親が帰ってこない!
目の前で待ってるし、左右に出口があるから迷うこともなし、人がたくさんいるわけでもない。
もしかして、気分悪くなったかな?て思い、個室をひとつずつノック。
全部、空いてる。
あれ?
私がトイレの中探してる間も母親が動かず待っていても、父親どころか誰も通らず。
声を出して、お父さん!て探すけど、
返事なし。
大変!
まさか、お父さん、先にお参りに?
いや、ひとりではいかないはず。
じゃ、なぜ?
こんな山の中で行方不明になんて、怖すぎる!早く探さなきゃ!
母親は動かずで、私がそのへんを探す。
山登りの道も下って探す。
いない。
人がほとんどいない場所でなんで迷子になる?って信じられない気持ちで、叫ぶ。
おとうさーん!!
と、その時。
おい、なにしとんねん!
お父さんの怒鳴り声。
お父さん!
2人同時に、
どこ行ってたん!
お前らこそどこ行ってんねん!
激怒する父親は、
トイレをさっと済ませて出たら、私たちがいなかったから探していたという。
目の前で待ってたのに。
…
人気が少ない広い駐車場で迷子になるなんて今でも謎な出来事です。
ある意味3人の絆が深くなったと思います。
誰も信じないかも知れないけど、
おきつねさまは、たぶん
見ていますよ。