経済的に苦しくて、高級料理店でアルバイトするようになった。
客で優雅に男性に連れてもらいたい年齢なんだけど、そんな優しい男に巡り合わないし、もう今の私はそんなお店に連れてもらえるような魅力もない。
ならば、自分でいつかは来たい!というつもりで働いている。
高いだけの接客もマスターしなければいけないし、接客経験はあるといえどもそれぞれのやり方があるから、全く初心者と変わりないといえる。
そこで感じていることは…
なんと、若い客が多いこと。
一人単価万札が何枚かいるのだけれど、それを知ってか知らずか、いやホテルに入る料理店だから高いのはある程度わかるだろう。そんなお店に堂々と来れるのは、お金に余裕のある人だといえる。
お金に余裕があるのは、どうやら今は若い世代なのか。
店の雰囲気に怖じけることもなく、堂々と板前と話したりできるところなんかは、慣れてるとしか言えない。そういう店に行くことがない人はどこか緊張が走るのだけど、全くない。
そういうセレブリティーな態度はおじさん文化なのかと思っていたら、要は経済的に余裕のある人の振る舞いであって、年齢ではなかった。
はー、すごいな。
私が若い時はそんな店気後れするし、時代背景で門前払いされたと思う。
今は金さえあれば行ける。
はー、すごいな。
フロアで接客していたら、こんな人みたいに稼ぐ仕事しなきゃ!と希望を持つ。
希望を持つけど、バイト帰れば疲れてしまうのでなんにも出来ず寝るだけ。私はなにしてるんだ?と自問してうなだれてしまう。
こんな現実はいやだ。
今日なんて明らかにアラサーな雰囲気の、店外で見たらチャラい、でもこの店の常連なのでだっさい格好できている。金持ちはわりとおめかししないという、それだ。
また、だいたいみんな綺麗な女性を連れてくる。とても綺麗で、どの人も大切にされているのがよくわかる。みな余裕な雰囲気なのだ。
高級料理店の現実を毎回まざまざと見て、金払いのいい人しかこないと思うと、やっぱり私は従業員としてしかここにはいれないのか。
とにかくお金持ちの余裕がある雰囲気は経済的なもの。お金なんて関係ないなんてのはきれいごとであって、お金がなければ気持ちの余裕なんて生まれてこない。
そして気持ちに余裕があればこそ、いろんなことをしようと思えるしできる。生活に精一杯だとまずいろんなことに気が向かない。
静かなお店ではあるが、裏ではてんてこまいで汗だくなのだ。
一刻も早く、客側に行きたい。