新しい会社に通う。
大阪という大好きな都会から離れた、下町の中にある工場を兼ねた事務所に通う。
「こんなはずじゃなかった」とはいうつもりはないけれど、もうオフィス街で働けないという気持ちが少しある。
経済的にも年齢的にももう余裕がないので、このままこの会社にお世話になると思うけれど、ここが最後かと思うと何もできないままの社会人生活だったのかと、なんだか複雑な気分なのだ。
そりゃ、全部自分のせい。
自分の実力のせいだ。
一旦都会に出て、そこからバスで都会から離れて行く。
バスの車窓から、都会にこんなにたくさん会社があるのに私は縁がなかったのかと思うと、テンションも下がる。
オフィス街で勤めるというのがステイタスで、大阪駅界隈でずっと働いてきた。
正社員も派遣も同じエリアでのみ働いていたので知り合いに出くわすことも多かったけれど、それも楽しかった。
なんやかんや言っても「縁がある」ところに行くわけなので、今の会社には感謝しかない。露頭に迷っているところに手を差し伸べてもらったわけだから。
それに、
都会は通勤経路だから毎日通過するわけで、全く行くことがなくなったわけでもない。
悲観しなくても良い。
それにしてもまだ慣れていないからか、もう歳だからか、寄り道せず帰る。
こんな早く帰るなんて、体調崩した時くらいだと思いながら。
そして、すぐ寝てしまう。
やっぱり通勤には疲れているんだろう。早く帰って色々できるのにご飯も食べずに寝る。
平和だ。
この毎日は安心するけれど、心の中にはまだ色々な思いがあって、
平和な毎日がやってきたけれど、これでいいのかと問いかける私がいる。
歳とともにゆるい毎日は理想的ではないのかとたしなめる私がいる。
自分を納得させる人生って、なんだ。
このまま終わりたくないという気持ちだけがブレない。