30代前半のころのことだと思う。
会社で使うカメラを買ったから、試し撮りをするということで、
仕事中の私を激写された。
あまりに知らんぷりしている私の写真だったから、いらないっていったけど、
その写真のデーターが撮ってくれた人のパソコンに保存されていたことに気付いたのは何年か経ってからのことだった。
撮ってくれた主が異動になって、置いて行ったパソコンの中身を確認していた時のことだった。
私ごときの試し取りのデーターが残ってたことよりも、
何年か経ってまた見ることになった自分の写真について驚いた。
明らかに、顔の雰囲気が違ったから。
私はどちらかというと肌は白い方で、吹き出物もでないありがたいお肌だけれど、
そこに写っているそれは、透き通ってるって表現してしまうほどキレイだった。
もちろん、知らんぷりして写った仕事中の私なので、特にポーズつけてるわけでもないしカメラを見てるわけでもない、中途半端な横顔なのだけど、
そのわずかに見えてる肌のキレイさというと、
自分ながら、
「若いってこういうことか」と
驚きしかなかった。
生きている以上、
今日が一番若いと思いながら生きなければいけない。
明日はまた、ひとつ細胞が死んでいく(んだろう)し、動作もわからない程度に遅くなっていくんだろう。
一番いい状態が今と思いながら過ごさなければならない。
肌の美しさに自分で身にしみて実感したことを覚えている。
それから、またずっと年月が過ぎた。
最近、道行く若い女の子を見て、またそう思うようになった。
キレイ。
肌がキレイ。
そう思いだすと、テレビでみる若い女優さんの美しさも、
若いゆえの美しさに本当にうっとりしてしまう。
若いって素晴らしい。
私は女性だけれど、
男性が、若い女性がいいというのも、わかる。
肌つやがよく、希望にあふれた明るい顔、なにしても楽しいという感覚、
まあ、抱き心地がよさそうな弾力のある体。
かわいいわがままも
若さがフォローしてくれる。
若いのは女性も男性も、
若い時だけの特権がある。
若いときには、まったく自覚はなかったけれど、本当にそうなんだな。
今の自分も、
この先、10年20年先の自分になった時には
同じように、
キレイだったという感想になるのだろうか。
そう考えると、
もう年だからって思っていてはいけないな。
もっとよぼよぼになった自分が昔を振り返る時、
美しかった自分に満足していたら素晴らしいんだろうな。
最近、写真撮ると目が死んでたりするから
もっと明るい顔になろう。
春になれば、またひとつ年をとる。
誕生日までにもう少しキレイをがんばってもいいかもしれない。